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§ 龍王の巫女姫 §
第7章 蕩ける果実
水鈴を組み敷いていた彼は寝台から起き上がり、服の乱れを整えながら入り口に向かった。
合図の小鐘を鳴らして外に控えていた宦官を呼び寄せると、決まりに従って現れた彼等が戸を開けて入ってきた。
ひとりは水の杯を王に手渡し
ひとりは代えの敷布を手に寝台へ
別の二人は、裸の水鈴を布でくるんで運びだした。
王の伽をする者は、行為が終われば退出するのが習わしであり
炎嗣の相手をした寵妃は必ず最後に気を遣るので、宦官が別の場所へ運ぶことになっている。
「……」
渡された水を飲み干した炎嗣は
二人の宦官に抱えられた水鈴をじっと見ながら、寝台の整えが終わるのを待っていた。
そして彼等が部屋を出ようとしたところで言葉を発する──。
「女は連れていくな」
「…は…、しかし」
「置いていけ」
「…!!」
冷静な宦官たちも互いに顔を見合わせた。
王の命令は慣例に反する行為だ。
それに従っていいものなのか。
「…何をぐずぐずしている」
「……っ」
しかし彼等に王へ意見する権限も勇気もない。
言われた通りに彼女を寝台へ戻し、くるんでいた布で簡単に汗を拭きとってから上掛けをかけて退出した。