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§ 龍王の巫女姫 §
第7章 蕩ける果実
「起きていたの…ッ」
「……」
反射的に逃げようとした水鈴の腰はいとも簡単に捕らえられた。
「いやです!離して!」
「いったい何を考えていた」
「…!」
頬をぐっと掴まれ強引に目を合わせられた。
間近の漆黒に、震えが起こる。
「余計な…事を」
「…ぁ」
「…考えられる立場か?王の弑逆を謀った罪人が」
冷ややかな笑みを浮かべる炎嗣の声が突き刺さる。
そうか、わたしは嘆く権利すらもう奪われたのかもしれない。
「お前の命は俺が握っている」
「誰が貴方なんかに…っ」
「…拒むなら、次こそは成功させろよ?」
彼はわたしを馬鹿にしているんだ。
わたしの無力さをからかっているんだ。