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§ 龍王の巫女姫 §
第8章 託宣( タクセン ) ── 若王の秘密

そんな彼女の気持ちを察することができない女官は、炎嗣の美談を続けるのだった。
「戦と蝗害に歯止めをかけた陛下は、民からの圧倒的な支持を得ることに。故にますます…反勢力の勢いは削がれ、宮中の平和も保たれたのです」
「……っ」
──平和、ですって?
王宮の外では村人全員が皆殺しという
悲惨なことが起こっているというのに。
そんな平和…聞いて呆れます。
「──…話の途中だけれどごめんなさい。もう…いいですから」
水鈴は座椅子から立ち上がり、ふらふらと寝台へ向かった。
「なんだか……フ‥ア、眠くなってしまいました」
「ハァ、まったく貴女ときたら…」
話途中で興味を失われ
女官は不服そうに息を吐き出す。

