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§ 龍王の巫女姫 §
第8章 託宣( タクセン ) ── 若王の秘密
「…交戦中の相手を説得なんて、可能かしら」
「争うのではなく共存しようと、交易を始める事を陛下は提案したようです。噂によると……蛮族の長と、一対一の真剣勝負をおこなったとも」
いつしか女官は、数年前の一連の出来事を懐かしみながら、まだ少年であった炎嗣の姿を思い出しているようだった。
それを聞く水鈴は素直に受け止められない。
峭椋村のみんなの話すところでは、李国の王は野蛮で好戦的だと……
これでは正反対だ。
“ そんなの、信じられるわけない ”
水鈴にとって炎嗣は憎き仇。彼を美化する女官の話は、彼女を混乱させ…同時に不快にさせる。