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§ 龍王の巫女姫 §
第8章 託宣( タクセン ) ── 若王の秘密
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手首だけじゃない。
両足首も紐で拘束されている。
「‥‥!!!」
彼女は大の字で、寝台の四柱に繋がれているのだ。
袴にシワができるのを気にしていたのに…
いつの間にか白の上衣と紅袴を脱がされていて、内衣一枚になっている。
さらに、水鈴が拘束されているのは見知らぬ部屋。
部屋が暗かったのは、日が暮れたことを示しているのではなくて、開口部自体が存在しない部屋だからであった。
「何なの…これっ、…誰か!」
「大声はおやめなさいな」
「ぇ…?」
そして突然、耳に届いた男の声──
「ぐっすりと眠っていたおかげで、ここまでお運びするのも容易でございましたよ…。御膳に仕込んだ眠り薬の効きが良かったのですねぇ」
薄ら笑いとともにそう喋りながら、壮年の男が寝台に近づいてきた。
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