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§ 龍王の巫女姫 §
第8章 託宣( タクセン ) ── 若王の秘密
そうだわ……
毎晩、毎晩、あの男に抱かれながら
王宮から逃げ出さなかった自分。
“ でもそれには、理由がある…! ”
逃げたくても、逃げるわけにいかない。
わたしには成すべき事があるから。
「…わたしが 逃げないのは…っ」
視界を覆われた暗闇の中──
唇を懸命に動かして、彼女は声を張り上げた。
「わたしが逃げないのは…!──あの男を殺す為」
「……!?」
「いつか必ず、復讐する為です…!!」
それまでは絶対に逃げない
どんなに辛くても、屈辱でも耐えてみせる。
村のみんなと、花仙の仇。
「…な…ッ 何を言っているのだ」
彼女の上に被さった男は、冗談ではない水鈴の決意に戸惑っている。
男の顔から笑みが消えた時───
「──…よくぞ、言ったな」
背後から、別の男の声がかけられた。