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§ 龍王の巫女姫 §
第9章 龍は孤独を歩む
「いい加減…ここで息をすることを覚えろ」
彼女の鼻を二本の指でつまんだ。
「…む…っ ハー、ハァー…」
水鈴は顔をしかめて、深く呼吸をしながら炎嗣を睨みあげる。
「……ク」
慣れぬ口呼吸
鼻をつままれたまま、懸命に空気をとりこむその所作が、見下ろす炎嗣からは滑稽に思えた。
そんな中でも、しっかりと此方を睨んでくる表情がたまらない。
「──…で、どうして欲しい?」
「…は、…離してくだしゃい…」
呂律( ロレツ )が回っていない。
「…ク…ハハ、ああ この指か。悪かったな」
鼻をつまんでいた指を離してやった。