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§ 龍王の巫女姫 §
第9章 龍は孤独を歩む


「…ハァ…ハァ…」


彼が次の行動にでる前に、言わなければ


「どうか、お願い…。この紐を、解いて下さい…」


「──…」


「…え、炎嗣様…!」


「…それでいい」


素直に願いを言った水鈴に、炎嗣は彼女の頭を撫でて応えた。

広がった銀髪に指を通し

ゆっくりと、すいてゆく。


それを数回繰り返した後、腰に下げた半月刀を抜き取ると、彼女を繋ぎ止める紐に振り下ろした。


右手、右足、左足…

最後に左手が解放されて

水鈴は手足を引っ込めて丸くなる。



「──…ハァ、ハァ」


自由に動かせる四肢──

その安堵は、水鈴の身体に小さな震えをもたらした。



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