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§ 龍王の巫女姫 §
第2章 峭椋村の巫女姫
それにもうすぐ目的地だ…。
彼女が沈んだ気持ちで疲れた足を急がしていると、水の流れる音が近づいてきた。
──それは滝と、湖畔の水音。
この森は李国有数の湖沼地帯でもある。
「…そうだわ」
彼女はパッと顔をほころばせ、前を歩く男に懲りずに声をかけた。
「村に帰る前に水浴びをしてはいけない?」
「…っ…そのような時間は…」
「すぐにすませます。ちょうど着替えもそこに隠してあるのです」
「──…」
我がまま姫の我が儘な提案。
少し考え込んだ彼だったけれど、やはり彼女には敵わない……。
「お願い」
「…いいでしょう」
少しの沈黙を挟んで、彼はそれを許した。