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§ 龍王の巫女姫 §
第10章 春節の夜
特に上等な反物を使うわけではないから、炎嗣の命じた二人の衣服はすぐに用意された。
目立たない色にしろと言われた炎嗣の短袍( タンポウ )は、彼がもともと着ていた吉服と同じ黒色。
下手に淡い色の衣を纏ったところで、この男の覇気が弱まるわけでもなく…
確かに、なるだけ強い色で抑え込むのが名案だろう。
「着替えたか」
「はい…」
対して、水鈴に用意されたのは淡い水色の襦裙( ジュクン )であった。
目立つ銀髪は、笠と頭掛でなるべく隠す。