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§ 龍王の巫女姫 §
第10章 春節の夜
綺羅びやかな衣や、周りにはべる高官や侍衛たち。
それらが無くとも滲み出る品格や身のこなしが、炎嗣の身分の高さを相手に感じさせるのだ。
「…春節の餃子というのはな」
店主に餃子を詰めさせている間、炎嗣が水鈴に話しかけてきた。
「大晦日の夕餉( ユウゲ)で最も不可欠な料理だ。大切な者達で、皿に盛られた餃子をかこむ」
「大切な者達、とは…?」
「──…家族だ」
「家族…」
本来は大晦日の夜に家族総出で餃子作りが行われ、子の刻とともに食べられる。
団欒、縁起の良い食べ物だ。