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§ 龍王の巫女姫 §
第10章 春節の夜

「そうやって自分勝手なことばかり…。あの人たちが気の毒だわ」
国の仕組みも慣例にも詳しくない水鈴だが、何となく…この状況が、彼に相応しくないことは理解できる。
「お前までそんな事を言うのか?口煩いのは十分に間に合っているぞ」
「…っ、笑い事ではないでしょう?」
「この餃子に毒があれば直ぐに気が付く。心配など不用だ」
「そうだとしても…!」
かつては花仙に怒られていた
…今は立場が逆転した水鈴。
「俺に意見するな。ところで本当に、お前はこれを食べないんだな?」
「…わたしはっ…、…いらないですから」
「──…ならいい。俺も全てを食べる気はない」
既にふたつを食べた炎嗣だが、まだ倍以上の餃子が残っていた。
全てを食べる気がない…?
彼の言葉に水鈴はぎょっとした。

