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§ 龍王の巫女姫 §
第11章 残酷な好機
気が動転した。
動かない彼の下で身体を左右に揺すり、何とか上体を起こした。
ゴロッ‥‥
「ッ──」
「血が…っ」
弱々しく咳き込んだ炎嗣の口から赤い血が──
「……そんな…駄目!誰か……っ」
自身の背に回されていた手が滑り落ちる。
まだ十分に身動きがとれない水鈴は、咄嗟にその手をつかんで両手で握りしめていた。
「…しっかり して下さい…!! 誰か助けて!」
「──…陛下!」
「炎嗣様!」
水鈴が助けを呼ぶのとほぼ同時か
駆け寄ってきた二人の侍衛達が、膝をついて炎嗣を見下ろす。
彼等の顔は蒼白で、あってはならないこの事態に冷静さを失っていた。
「ご無事で御座いますか!?」
容態を聞く侍衛に身体を揺すられた時、炎嗣はその顔を痛みに歪めた。