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§ 龍王の巫女姫 §
第11章 残酷な好機
衣の上からでは確認できないが、炎嗣は間違いなくその背に重傷を負っている。
いくら呼び掛けど言葉を返さない彼を、侍衛は二人がかりで抱えあげた。
「……っ」
呻きを喉の奥で噛み殺す炎嗣。
彼の手を握っていた両手が侍衛によって払われる。
騒ぎと混乱が増す朱雀大路──。
担がれた炎嗣は、通りを一本奥に入った小さな宿に運び込まれた。
──残された水鈴は上手く立ち上がれない。
彼女の頭から笠が落ち
それは逃げ惑う人々に踏まれ、壊れてしまった。
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