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§ 龍王の巫女姫 §
第11章 残酷な好機
《連れ込み部屋》であるこの場所は、どこか色合いもいかがわしく…
香炉や調度品から漂う香りも甘ったるい。
「…ハァ…」
けれど水鈴の心は重く、その身体も鉛のようだ。
彼女は月の明かりでぼんやりと浮かぶ炎嗣の顔に目を遣った。
医官に渡された痛み止めの薬には睡眠成分も含まれていたから、それを飲んだ炎嗣はとっくに寝入っている。
スー、スー
規則正しい彼の寝息がそれを伝える。
「……」
.....
『 教えてやろう。暗殺をするならな…寝込みを襲うのが常套手段だ 』
『 例えば…これで俺の喉をかき切るか。その心構えを持てるか?それでこそ復讐だろう 』
「寝込みを……!!」
正に今、水鈴は……暗殺を実行するまたとない機会に遭遇しているのだ。
峭椋村での悲劇と苦痛に
復讐という終止符を打つための。