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§ 龍王の巫女姫 §
第11章 残酷な好機
「──…泣いているのか?」
「………!!」
状況の深刻さも、彼女の手の内の凶器も
どうでも良いとでも言いたげに、炎嗣が問う。
「面倒だが…拭ってやる。ほら…」
「…く…っ ふ……」
水鈴は口を覆う掌に力をこめた。
天女のような美しい顔が歪み、華奢な肩が縦に震える。
ふらり、ふらりと足を動かして寝台に進めば、炎嗣はそれに合わせて自らの上体を起こした。
骨の砕けた身体は酷い痛みをもたらしたが、彼はそれを表情に出すことなくぐっと堪えた。
「…素直に来たことは誉めてやろう」
「……っ」
水鈴が十分に近付くと
炎嗣の手が、燭台を持つ彼女の手首を掴んだ。