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§ 龍王の巫女姫 §
第12章 紅い灯籠に花を広げ…
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炎嗣が右手を挙げると、彼の後ろに控えていた宦官達も何処かへ消えてしまう。
水鈴と炎嗣──四阿( アズマヤ )は二人きりになった。
「…どうしてここに?」
水鈴が彼と会うのは四日ぶり。
王宮に戻った炎嗣は怪我の治療と公務で忙しく、今晩の宴の準備もあって水鈴を訪ねてくることはなかった。
「酔いざましだ。献杯を何度も受けたから」
「…っ、玉座が空いているとみんな驚きます」
「気難しい奴が消えてくれて安堵しているんじゃないのか?平気だろう」
全く、どこまでも自由な王だ。
炎嗣が隣に腰を下ろしたので、彼女はさりげなく右奥に身体をずらした。
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