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§ 龍王の巫女姫 §
第12章 紅い灯籠に花を広げ…

だから代わりに顔を背ける。

「……//」

「……ハァ」

動かなくなった水鈴は喋るようすもないので、炎嗣は溜め息をついて脚を組んだ。


「騒がしい歌と舞を見せられてうんざりなんだ…。お前の鈴の音のような声でも聴かないと、気分が悪くて酒も抜けない」

「みんなあなたの為に躍っているのだから…そんな言い方は可哀想です…」

「…炎嗣だ」

「──え?」


座ったまま前に向き直って、炎嗣が遮る。


「俺は炎嗣だ、そう呼べ」

「…え、炎嗣 様……」

「…ふん」


従順な水鈴にご満悦だ。


「心地いい響きだ。もう一度呼べよ」

「炎嗣様…、あの、そろそろ戻ったほうが…」

「余計な事は言わなくていい」

「……っ」



チャプンと音がして、池の中の何かが跳ねた。



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