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§ 龍王の巫女姫 §
第12章 紅い灯籠に花を広げ…

彼が前を向いたことで二人の間に少しの距離ができたので、水鈴はそっと目線をあげてみた。

“ 耳が赤い… ”

酒を飲んだと言う彼は、一見したところ顔に変化が無いようだけれど…

ホンの少し、耳の…上のほうが。


“ 何だか変な気持ちになるわ ”


触りたい

そんな感情がふつり浮かんできた。

手を伸ばして炎嗣の耳に触れてみたくなった。


“ …もう、馬鹿…… ”

けれどすぐに正気に戻って自分をたしなめる。

そんな呑気なことを考えていられない。


フル フルっ


「……?どうかしたか」

「なんでも…っ」

首を振る水鈴を炎嗣が不思議そうに見下ろした。


「俺の顔に何かついているのか」

「違います…! ただ耳が赤いから、ちょっと気になってしまって」

「耳?──ああ…」


炎嗣は自分の耳に指の甲で軽く触れる。

──かと思うと、その手で水鈴の左肩を掴んだ。


「お前は、顔全体が真っ赤だけどな」

「……っ」


同じように右肩も掴まれて、彼女は強引に口付けされた──。



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