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§ 龍王の巫女姫 §
第2章 峭椋村の巫女姫
「あらら…すごいお怒りだねぇ…」
村長の目が怒りのあまり激しく痙攣していたのを見逃す者はいなかった。
「仕方ないね…大事な姫様だもの」
「いなくなったと知った時の村長様の心配ぶりは…見てるこちらがハラハラしたさ」
仕方ない、仕方ない
これも愛情だ…。
村人は口々に呟きながら各々の家に戻ってゆく。
そしてその場所には、大柄な村の男達が数人だけ残された。
──
彼等はひとりの男を取り囲む。
その男とは、水鈴を村まで連れ戻してきた…眼を布地で覆い隠す気味の悪い異端者──。
「水鈴様がいなくなったこと、何ですぐに気付かなかったんだ…。都なんてぶっそうなとこに近付けやがって…っ」
「聞いてるのか?鼠 ( ネズミ ) 髪の化け物」
「姫様のお慈悲で、仕方なくこの村においてやってるのに、恩知らずめ…。危険な目に合わせたらただじゃおかねぇからな!? 」
「やっちまえ!」
───