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§ 龍王の巫女姫 §
第13章 都を離らば
「だが話せるまで回復したようだ」
「……!! …、な、なんだかまた気分が悪くなってきたみたい…です、…ふぅ…、──…ああ、いけないわ……外!外を見ておかないと」
「……」
「……っ」
嫌な予感がしたので、水鈴は先手をとって物見窓に目線を戻す。
桟に両手をついて顔を外に出した。
何故だろう苦しかった胸がいくぶんか楽になっているけれど
それどころではなくなった。
“ 今ので誤魔化せた…!? ”
炎嗣が何も言わずに黙っているので、空気が痛い。
機嫌を損ねてしまったのか…
気になるけれど顔を戻して様子を伺うわけにはいかなかった。そんなことをしたら絶対に彼と目が合うという確信があるからだ。
「……!?」
「取り敢えず教えておくが…──、…俺は後々まで根に持つ部類の男だ」
後でしっかり 借りは返してやるよ…
凄みをいれて呟かれた炎嗣の言葉に
水鈴は今すぐこの窓から身を滑らせて、彼と同じ輿から逃げてしまいたいと思った──。