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§ 龍王の巫女姫 §
第14章 湯に溶ける甘い蜜
───…
そこから目的の地までは長くなかった。
道に緑が増えてきたと思っていたら、地平線からはなだらかな山脈と、葉のない樹木たちが。
《 桃源郷( トウゲンキョウ ) 》
炎嗣はこの土地をそう呼んだ。
丘を覆う裸の木々は桃の木だそうで、春には辺り一面が美しく彩られる。
残念ながらまだ開花には早く、たっぷりと丸い蕾を散りばめた枝に花はついていなかった。
そして桃の木に囲まれてひっそりと、王族専用の離宮があった。
無事に到着した旅の一行。
水鈴はというと…
「──…//」
いきなりの窮地に。