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§ 龍王の巫女姫 §
第14章 湯に溶ける甘い蜜
「ぐずぐずするな。脱げ」
「…い…嫌…」
彼女は離宮の中にある板張りの脱衣所で、炎嗣と睨み合いの最中だ。
睨み合いといっても…
男の瞳に射ぬかれ、怯えと焦りで揺らぎに揺らいでいる彼女の目では勝負になっていないが…。
「面倒臭い女だな…、長旅で疲れが溜まっている。風呂に入るのが一番だろう」
「なら炎嗣様がお先にどうぞ…っ、わたしは後で入らせてもらうので…」
「俺の背を流す女が必要だ」
露天風呂に続くその脱衣所で、押し付けられた湯浴み用の薄衣を胸の前で握りしめ、水鈴は最後まで躊躇っていた。