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§ 龍王の巫女姫 §
第14章 湯に溶ける甘い蜜

彼だって自分と同じ様に長旅に疲れているのだ。
いや、それ以前に…
王宮での忙しい毎日があったのだ。自分の知らないところで苦労していたのかもしれない。
その疲れをとるための温泉。
ゆっくりと堪能させてあげないと…。
“ わたしも連れてこられた理由は知らないけど ”
水鈴は肩まで湯に沈め、炎嗣から目を離すと火照った顔でひとつ息を吐いた。
“ わたしは何をすればいいのかしら… ”
今回、ここ桃源郷に同伴するのは少数の衛兵と侍女と書記、そして水鈴だけ──
自分だけ、これといって役割がない。
役割がないのは宮中でも同じことだけれど…。
ここ数日
何故、彼が自分のような女を側においておくのか疑問に持つようになった。

