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§ 龍王の巫女姫 §
第2章 峭椋村の巫女姫
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
そうだ、わたしは巫女なのだから。
わたしの憧れは煩悩なのだから。
自然と彼女は涙を浮かべる。
叱咤されたからといって泣くのは卑怯だ。
村長の言葉は正しい。間違っているわたしが泣いてはいけない。
これでは彼が悪者になってしまう。
そうは思っても涙が止まらない。
「わかったのならもう良い。白米も炊けておる故、食べてから堂に帰りなさい」
水鈴の心からの反省を汲み取り、村長は荒げた声を沈めた。
「不憫な思いをさせていることは承知しているが、すべてはお前を守るためだ…」
「…ッ…はい…」
「──して、その銀髪は誰にも見られておらぬだろうな?」
嘘を許さない鋭い目で 男は水鈴を見つめた。
「……誰にも見せて…おりません…っ」
「…そうか」
その後、村長に馳走になった彼女は、自分の住まいである御堂へと帰っていったのだった。