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§ 龍王の巫女姫 §
第15章 白梅の精
水鈴は清流の中にいた。
「お婆ちゃん、これでいいかしら?」
さらさらとした水に足首まで浸かっている。
「もう十分でございますよ~」
「はーい」
清流の水を汲んでいた彼女は、裳裙を膝丈まで捲って紐で縛り、濡れないようにしていた。
いつもの女官に見られでもしたら…はしたないと言って厳しく怒られるに違いない。
水鈴は川岸で待つ老婆のもとに戻った。
「…駄目ですよぉ水鈴様。私があなた様にこのような事をさせただなんて陛下のお耳に入ったら…」
「様だなんて、つけないで下さい」
春が近付いているとは言え、川の水はまだまだ冷たい。
水汲みを手伝いたいと申し出たのは水鈴の方だが、老婆は終止、ハラハラと落ち着かない様子でそれを見守っていた。