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§ 龍王の巫女姫 §
第15章 白梅の精
水を厨房に運び入れると、そこには夫である老人が待っていた。
「水汲みかい婆さん…わしがやると言ったのに」
「やったのは水鈴様だよ」
「なにー!?」
この二人が呂( ロ )夫婦。
炎嗣が即位する前の少年のころ、世話になったのだという。
お互いに背が曲がりかけているが、まだまだ元気で陽気な老夫婦だ。水鈴はすぐに彼等を好きになった。
「こんな細っこい腕で…折れたらどうする気だ」
「わかったから爺さん、お茶を淹れるよ、お茶を。水鈴様の疲れをとるために飲んでいただこうや」
「…おおっ そうじゃな」
パッと飛び起きて火おこしを始めた呂老人。