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§ 龍王の巫女姫 §
第15章 白梅の精
「……」
炎嗣が茶を飲んだのを確認してから、水鈴も続いてすすった。
ズズ...
「美味しい…!」
呂夫妻の淹れた茶は期待を裏切らない味だ。
「…懐かしい味だ」
「もしかして──…このお茶も八年ぶり?」
「まぁ そうなるな」
不思議でならない
“ 忙しいと言っても時間を作れば来ることもできただろうに……、どうしてかしら ”
ここで過ごした六日間でわかったことは、この桃源郷を彼が愛していると言うことだ。
なのに彼は八年ぶりだと言う。
何故こんなに月日が経ってしまったのだろう…。
「…やはり政( マツリゴト )で苛ついた時には甘いものが上手く感じるのだな」
「普段は甘い菓子を食べないのですか?」
「そうだな…王宮では、──菓子の代わりに女を抱いていた」
「お、女…!?」
「菓子と違って甘くはないが…煩わしさから一時の解放を得ることができる」
小さく丸い餅菓子をひとつ口にいれて、炎嗣は彼女を困らせるような事を言い出す。