この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
§ 龍王の巫女姫 §
第3章 永久( トワ )の別れ唄
「…また、あの唄が」
ここ数日、水鈴は嫌な夢を見る。
夢の内容はいつもうろ覚えで定かでないが、悪夢から目覚めた彼女の耳にはあの唄だけが残されるのだった。
──どんな唄…?
ああ、またすぐに忘れてしまう。
昨日も一昨日も、その前の日も…
きっと同じ唄だった筈だ。
気分の晴れない頭を押さえて、水鈴は広い御堂の中でゆっくりと敷布から踏み出た。
もうすぐ村の誰かが朝食を持ってきてくれる。
それまでに朝の祈りをして、外の掃除をしておかなければならない。