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§ 龍王の巫女姫 §
第3章 永久( トワ )の別れ唄
水鈴が都へ下りた日から三日が過ぎた朝だった。
巫女としての一日が始まり、寝具の片付けをすませて祈りを捧げたあと、箒( ホウキ )を手にして外へ出た水鈴。
堂の横にそびえる立派な御神木──
天を覆うように伸び広がる太い枝々からは、それに見合った量の木の葉が下界に落とされる。
まずはそれらの掃除からだ。
決まった刻になると当番の者が朝の飯を彼女に届けるために訪ねてくる。
笑顔の村人から、笑顔で膳を受け取り
御堂の中に戻ってひとりでそれを頂く。
「美味しゅうございました」
膳の前で手を合わせる彼女を見る者は誰もいなかった。