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§ 龍王の巫女姫 §
第15章 白梅の精
そんな中…
風が彼女の鼻に運んできたのは
「花の香り…」
水鈴は辺りを見渡した。
桃の木々はどれも丸裸だし、若草の敷き詰められた大地には花なんていない。
けれど確かに、それは届いた。
少し向こうから香ってくる。恐らく、今進んでいる方向から……。
“ 春はまだ先──桃よりも早くに、季節を告げる花が…? ”
水鈴は興味を持った。
香りの正体を見たいと思った。その仄かに甘い匂いが…自分を誘っているようにも感じた。
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