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§ 龍王の巫女姫 §
第16章 淡く儚く 愛おしく
「──待って!」
「……!」
「行かないで……!!」
自分の前から消えようとする
そんな花仙に、思わず叫んで呼び止めた。
「…お願い…」
「──…」
気付けば声が裏返る。
自分の顔を鏡で見るならば、今にも泣き出しそうな表情に違いない。
呼び止めるけれど足が動かない水鈴だったが、彼女の叫びを聞いて立ち止まった花仙は振り返ってくれた。
花仙は目を隠しているから、水鈴がどんな顔でこちらを見つめているのかがわからない。
けれど彼は、" 視る " 代わりに " 感じる " ことができる…
彼女の声に含まれた動揺と、懇願が。