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§ 龍王の巫女姫 §
第16章 淡く儚く 愛おしく
「李王は貴女を優しく扱って下さいますか?」
花仙は振り返らずに問いかけてくる。
「炎嗣様は、優しいとか、その、そういう人ではないけれど…」
「──…まさか無下に扱われているとか」
「そんなことない…筈です」
「それなら、よかった」
「……」
何故、花仙が炎嗣とのことを聞いてくるのか。
よくわからない。
「王宮にいたのなら春節祭はご覧になりましたか?空に打ち上がる花火を間近で見たいと…よく駄々を捏ねておられましたからね」
会話の中身に疑問を抱いてしまう。
「だ…駄々なんて捏ねてないです!」
「そうでしょうか?…クスッ」
「どうして笑うの…っ、もう」
峭椋村での毎日を彷彿させる…あの時と変わらない花仙とのやり取り。
違う
こんな話をするべきじゃない。
「都中が朱色に染まる光景はいかがでしたか?」
「ねぇ…、花仙」
「それとも水鈴様の関心事はやはり食べ物ですか。餃子に饅頭……春節の食べ物は他にも…」
「──花仙! 違うの…っ」
「……」
春節の話なんてどうでもいいから…っ
「こんな事を話したいんじゃないの…!!」
「──…」
「そうでしょう?花仙…ッ」
水鈴は思わず話を遮った。