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§ 龍王の巫女姫 §
第16章 淡く儚く 愛おしく
「会いたかった…っ」
嗚咽を呑み込み 水鈴は声を絞り出した。
「あなたに会いたくて仕方なかった…!!」
座る花仙に手を伸ばす。
本当は抱きついて、胸にすがって泣きたかったのかもしれない。
けれどそれは許されない気がしたから、彼女は両手で彼の腕をそっと掴んだ。
「ありがとうございます…っ 花仙」
「……!?」
「生きていてくれて…!」
怒りと喜びがごちゃ混ぜの状態で
何を話せばいいのやら。
でも無心になればなるほど、勝手に出てくるのはこの言葉しかなくて。
「会いたかった…──」
水鈴は何度も何度もそう言った。
《 花仙に会いたい 》
それはこの数週間、口に出すにはあまりに辛い言葉だったから…
胸の内で…夢の中で…幾度となく叫んできたのだ。
声に出せなかったその寂しさの分も、今こそ彼女は必死に伝えた。