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§ 龍王の巫女姫 §
第16章 淡く儚く 愛おしく
けれど次の瞬間に、彼の唇は耐え難い真実を伝えてきた。
「気づいておられる筈だ」
「嫌だ…聞きたくありません!」
「いいえ…聞いて下さい。あの村での悲劇が、いったい誰の仕業かを…──」
「…お願いやめて…っ」
「水鈴様…! 最後までお聞き下さい!」
「いやぁ!」
水鈴は耳をふさいで目も閉じた。
銀髪を振り乱し、続く言葉を拒絶した。
“ 聞きたくない、聞きたくない…! ”
「皆を殺したのは…ッ 違う、花仙じゃない…!!」
「──…私です」
「…違うものっ…花仙じゃないわ」
「…水鈴様…どうか…」
「……っ」
膝を曲げて小さく丸まった水鈴は、両耳をふさいだまま俯いて叫んでいた。
花仙はその背に、静かに手を置く──
そして、耳を覆う彼女の手をとって片方ずつ外してしまう。