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§ 龍王の巫女姫 §
第17章 氷の中の乙女
「……っ」
その刹那、水鈴の胸をむなしさが突き抜ける。
……違う
「──…水鈴様?」
「…ッ…めて」
花仙はこんなことしない。
「やめてください…」
ここが、わたしの造り出した世界なら…
ここにいる花仙も、わたしの願望にすぎない。
「あなたは花仙じゃない」
わたしの好きな花仙は
わたしがどんなに願おうと、こんなことはしてくれない。
いつも逃げてしまう…。
「ごめんなさい…あなたは違うわ…」
「水鈴、様…」
手を止めていた彼は、ふっと溜め息を溢すと跡形もなく消えてしまった。