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§ 龍王の巫女姫 §
第18章 貴方に届けたい
“ あれ?でも… ”
何故だろう
嬉しさのあとに罪悪感がついてくる。
“ わたしは炎嗣様を騙している? ”
何をどうやって騙しているのかはわからないのに、そんな考えがふと頭をよぎったのだ。
「…! 炎嗣様」
「なんだ」
「…いや、何でも ないです…っ」
「……?」
だから余計に、彼の視線を強く感じた──。
「…震えているな」
小刻みに動き出した水鈴の手に、炎嗣の手が重ねられる。
帰りの道中はまだまだ長いというのに…
いまだ不安定な状態の水鈴は、すがりつつも怯えた目で、炎嗣を見遣るばかりだった。
────…