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§ 龍王の巫女姫 §
第18章 貴方に届けたい
「ここを抜け出すぞ」
「──!?」
今…何と言ったのだろうか、彼は。
「王宮に入ってしまえばまた自由がきかなくなる。その前に…」
「…!? 炎嗣様…まさか、戻らないつもりですか!?」
国の王が、そんな──
「まさか、戻るに決まっているだろう」
「ならいったい…」
「寄り道をするだけだ。牢獄に戻る前にな…」
にやりと口の端に笑みを浮かべる炎嗣。
さっさと食べろと彼女を急かし
そして彼は、食後の膳を放ったまま水鈴を連れて部屋を後にした。