この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
§ 龍王の巫女姫 §
第22章 蛇の落とし子
炎嗣は、かつてのやり取りを思い出していた。
『 帝王学の復習ついでに、君に問題を出そうか 』
『……』
『──王として宮中で生き残るためには、どうあるべきかわかるかい?』
『…は?知らねぇ、そんなの書いてあったか?』
『…書いてはなかった。だから、教えるんだ』
その時、蒼慶は…
妙に真剣な表情で
『 ──…無能か、非情か。…そのどちらかを選択するしかないんだ 』
今 思えばこの時
蒼慶は小さな声で謝っていた気がする。
『けれど非情という言葉を取り違えては駄目だよ』
それを聞いた炎嗣は…ふと、思った。
無能でも非情でもない蒼慶は
生き残る気があるのだろうか。
それを思った時、炎嗣は無性に、目の前の彼を殴り飛ばしたい衝動に駆られた
───…その日の光景が、何故か
桃の幹に寄りかかる炎嗣には、まるで昨日の事の様に鮮明に思い出されてしまうのだった。
───…
〆〆 回想編 完