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§ 龍王の巫女姫 §
第23章 愛するあなた達へ
布を解くと、その下に隠された顔が現れる。
「……!」
痛々しく跡になった両目の切り傷が、真っ先に水鈴の目を引いた。
刃で付けられたであろう其の傷は、実に生々しく…
この距離で見たならば、普通の娘は顔をしかめて怯えるだろう。
ゴクッ‥
水鈴は唾を呑んだ
「……。触れても…構いませんか? 」
花仙が頷くのを待ってから、指の腹で瞼に触れる。
彼女の指が 傷に沿って縦になぞると
花仙は片目ずつ瞼を上げた。
そこに在るのは、龍眼だ──
「…花仙は瞳が…赤いのですね」
「そうです…」
「──…ふふ、初めて知りました」
くしゃりと目を細めて水鈴が笑った。
つられて笑った花仙も彼女の顔を見つめて言った。
「水鈴様の瞳の色…その紫紺の輝きを、どれほど見たかったことか」
やっと… " 視る " ことができた。
その瞳と、その微笑みを──
「ありがとうございます、花仙」
「…こちらこそ、水鈴様」
水鈴が手を離し
花仙が歩き出す。