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§ 龍王の巫女姫 §
第24章 龍王の許嫁( イイナズケ )
二人の兵の間を抜け、更に奥へ──。
仰々しい黒扉を宦官に開けてもらい、頭を下げたまま部屋に入った水鈴。
背後で扉が閉められ
彼女はただ……声がかかるのを待っていた。
「顔を上げろ」
「……っ」
そして彼の声がかかり、水鈴は前で組んでいた手を下ろして顔を上げた。
「──炎嗣様!」
「やっとだな…水鈴」
仄暗い閨房の片隅で座卓に座っているのは、此の李国のたったひとりの王である。
白い深衣( シンイ )姿の炎嗣は、いつぞやと同じ様にそこで酒をたしなんでいた。