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§ 龍王の巫女姫 §
第4章 狂気
「よォ、化け物」
「……どうかされましたか」
花仙は全く動揺することなく、いつもの穏和な口調で問いかけた。
それを彼等は嘲笑う。
「下手な芝居はやめろよ…。ほら、その目には見えてるんだろう?この刀が……」
「……」
「…なら、俺たちが何をしに来たのかはわかってるんじゃないのか」
「…ええ、理解しました」
男達は腕を伸ばして切っ先を彼に向ける。
しっかりと研かれた刃は松明の揺らめく炎をその身に映し出していた。
花仙はその場で回りながら、自分に向けられた無数の刃をぐるり見渡した。
「村をおこしての殺しですか…。たったひとりのために大層な光景だ」
彼はやはり怯まない。
しかしその声は哀しみをおびていた。
「──…では、何故殺されるのかは理解できておるのか?」
「……!」
人をかき分けて前にでてきたのは村長だ。
彼は刀も松明も持つことなく、拳に力をこめて花仙の前に仁王立つ。
「…私が異端の者だから…ではなさそうだ」
「その通りである」
怒りに任せて花仙を睨み付けながら、凄みを含む声で語りだした。