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§ 龍王の巫女姫 §
第4章 狂気
「素性のわからぬ得たいの知れないお前を、水鈴の頼みでこの村においてやったが…。本来ならば、あの子の髪を見た者は殺さねばならなかったのだ」
それは彼女の秘密を守るためであった。
「お前が今まで生きてこられたのは、ひとえに水鈴の慈悲ゆえ…。あの子を危険から守るという条件でだ…。なのに貴様は…
──…その立場を忘れたようだな」
「……」
「水鈴を誘惑し、決して許されぬ感情をあの子に抱かせたな!? 」
「何のことですか…」
村人が野次をとばす中、罪を認めぬ花仙に向かって村長は遠慮なく指を突きつけた。
「…っ…とぼけるな!水鈴は巫女である!巫女が人間の男に惹かれるなどという事があってはならん…!! その様な事をすれば霊力が弱まり、ただの凡人に成り果てるのだ!穢らわしい!」
我慢できぬという風に声が荒くなる。
周りの者たちも花仙を非難した。
「お前は化けもンで、疫病神だ!」
「姫様にどんな色目を使ったんだい!」
「──ッ!!」
ひとりの女が砂利道の石を拾い上げて花仙の頭に投げつける。
それは彼の額の皮膚を切り裂いた。