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§ 龍王の巫女姫 §
第4章 狂気
灯りの消えた御堂の中は何も見えない。
「…花仙!?…っ…花仙!」
水鈴は彼の名を呼び続けた。
身体中から吹き出す汗のせいで、夜着がぴったりと全身にくっついている。
「…いや…!! 花仙、怖い…怖いわ…」
怖くて堪らない
動悸が──
胸騒ぎが──
どうしようもない。
足許に蹴られた布団を手繰り寄せ
胸の前で強く抱き締める。
そうでもしなければ異常な震えを止めることができないからだ。
《このままこのまま 君は遠くへ》
「…っ行かない…で」
《待って、駄目よ、わたしは此処よ?》
「いやです…!!」
《ちゃんと隠れて、わたしは鬼よ?》
──…!
「…わたしが…鬼…っ」
鬼はわたし…っ
「だから逃げるのですか……!?」
花仙──!