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§ 龍王の巫女姫 §
第4章 狂気
『村の人は皆、欲がなく…
とても優しくしてくれます』
倒れた花仙は
水鈴の言葉を思い出していた。
そう、彼等には欲がない…
「…欲を狂気に、狂気を愛へとすり替えた…
あなた方の自己暗示は大したものだ」
「くッ…こいつ、村長!殺しましょう!」
「…そうだ…!! これ以上、村に邪悪を持ち込まれる前に殺さないと…っ」
「ハァ…、水鈴様…」
“ 水鈴様…貴女は巫女ではない。貴女は…!! ”
殺せ
殺せ
殺せ
五十の村人が血相を変えて叫び続ける
──それは確かに狂気としか言い様のない光景であった。
大きく刀を振り上げた男たちが、聞き取れない言葉を滅茶苦茶にはきながら斬りかかる。
中には松明を振りかぶって花仙に迫る女もいた。
殺せ、殺せ
化け物を殺せ
邪悪を殺せ
穢れたこいつを…穢される前に殺せ!
────
.......
《──…。…見つ…た……あなた》
「──…っ、ハァ…‥‥、ッ‥」
《あなたは……》
「‥ハァハァ‥っん‥はぁッ」
《…あなたは …ダアレ?》
「…ッあ!! …はぁ、いやあああああ!」
水鈴が飛び起きた