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§ 龍王の巫女姫 §
第5章 炎の李王
水鈴は寝台の上に横たわっていた。
頭上には金色の天蓋( テンガイ )があり、周りの垂れ幕は今は四方の柱に結われている。
鼻に届いた甘い匂いは、枕元で焚かれた香のもののようだ。
微かに甘くそれでいて涼しげなこの香りを水鈴は知らない…。
「ここ…?」
彼女はゆっくりと上体を起こす。
身体が重たい。
それは疲れからというより、長い間横たわっていたことによる重みだった。
部屋の灯りは消されているが窓からの光が明るい。
それは今の時刻が、とうに昼時を過ぎているのを現していた。