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§ 龍王の巫女姫 §
第5章 炎の李王

「許さない…!あなたの思い通りになんてわたしはならない…!!」
水鈴は嗚咽を呑み込み呟いた。
外の見張りに聞こえぬ小さな声で…。
“ 王が何だというの。国が何だというの。こんな非道が許されていい筈がない…っ、必ず……!! ”
誰かが、仇を打たなければ
「わたしが、仇を……!!!」
唇を引き結び水鈴は涙を流す。
彼女は目線を小さな円卓に移した。
その上の籠に入っていたのは、彼女が " あの夜 " に身に付けていた夜着だった。
血と土で汚れていたその夜着は寝ている間に洗われていたらしい。
水鈴はそこに手を差し入れて…
中から黒曜の簪( カンザシ )を取り出した──。

