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§ 龍王の巫女姫 §
第6章 凌辱の初夜

奥にはさらに部屋があり、其処に控えた宦官が彼女を確認して静かに戸を開けた。
《陛下が声をおかけになるまで、顔を上げてはなりません》
女官に口煩く言われた通りに下を向いたまま敷居を跨ぎ、頭を隠すように腕を前で組む。
薄暗くしんとした閨房の中──
「…顔を上げろ」
炎嗣の声が響く。
「少しは落ち着いたか…。そうしているとお前も、…ああ、まだ名を聞いてなかったな?」
「……」
「教えろよ?これから抱くっていうのに呼ぶ名が無いのも困ったものだ」
全くその通り。名も知らぬ女と契ろうとするこの男の頭が理解できない。
水鈴は彼をきっと睨みつけた。
「…水鈴、です」
「水鈴か…、良い響きだ」
「……っ」
「来い」
寝台の横にある座卓に座った炎嗣は、初めて会った時よりも随分と親しげに話しかけてくる。
これから抱き合う相手として、その警戒心を和らげようとしているのかもしれない。

