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§ 龍王の巫女姫 §
第6章 凌辱の初夜

けれど彼女の警戒は増すばかりだった。
にこりともせずに慎重に彼に近付く。

炎嗣の前には酒が用意されており、彼は杯( サカズキ )にそれを注いで一足先に飲んでいるようだ。


「お前も飲むか?」

「いりません」

水鈴にも勧めたが断られる。

そもそも彼女は酒など嗜んだことがなかった。

即答した彼女に炎嗣は苦く笑う。


「クク…愛想の欠片もない…」

「……」

「ならば此処ですることはひとつしか残っていないようだな、水鈴」

「…わたしは…っ」


酒も、楽しい会話もないのだから、後は房事を行うだけだ。

けれど水鈴にはこの憎き男と共に寝る気はさらさらない。



「わたしは…その様な事はできないわ…っ」


「……!」


「此処に来た理由は、あなたと話をするためです。峭椋村のことを…!!」


「峭椋村…」


彼女が切り出した話題を聞いて、興ざめした炎嗣が杯を置いた。



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