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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第19章 滅びの道
──本格的に降り始めた雨の中、大勢の兵士達が城門の前に立ち並んでいた。
港には多くの貨物船がひしめき合い、兵士達が手押し車に乗せられた沢山の荷物を船へと運び込んでいく。
各国からルバール大国に集められた、南の国への救援物資。
他の国々が穀物の大半を南の国に頼っていたために、それに変わる物資を大慌てで揃えた“なけなし”の作物だ。
「なんだか大変なことになっちまってるみたいだな…」
「ああ、この話はまだ民達に知れちゃいけないからな…お前も酒場で語るなよ」
「酒場も何も、酒の値段が上がっちまって俺の稼ぎじゃとても、だ」
荷物を運びながら兵士達は確かに! と顔を見合わせ豪快に笑い合う。
全ての荷物を運んで船に合図を送ると一番大きな貨物船が蒸気を上げて、ゆっくりと岸から離れていく…
「酒どころじゃねえや…これからは食い物も節約しなきゃな…」
「ああ、本当だ…」
南の国、ジャワールの現状を聞かされてはそう思うのも仕方ない…
船着き場にどんどん運ばれる荷物を眺めると、兵士達はよし!と気持ちを切り替え、黙々と次の作業に取り掛っていた。